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いつもと違う旅をしませんか? そう、フランスで運河の旅をしませんか。レンタルボートは免許不要です!! 船長さんはあなた!
設備完備のレンタルボートは水上の動くコンドミニアム! 朝市で買った食材で料理をしたり、ミシュラン星のレストランで食事をしたり、ワイン、チーズ、郷土料理を楽しみながら、曳舟道を自転車で走り、町の骨董屋で掘り出し物を探す。土手に舫い、ロックを越えて。 フランス人は勿論ドイツ人もオランダ人もカナダ人もオーストラリア人も皆楽しんでいます。スロージャーニー、ハッピーライフ!
ロアンヌ運河クルーズ(2023)
2023年4月8日(土)
前日宿泊していたリヨンLyonから朝一番の列車でブルゴーニュのディゴアンDigoinに到着。運河クルーズ出航の港へ。4年ぶりの運河クルーズにワクワクドキドキです。思い返せば3年前の2020年3月、フランス行きのフライトチケット予約もクルーズのための船の予約も完了して出発準備に忙しくしていたある日、突然コロナパンデミックの発生。国境が閉じられ、クルーズは翌年に延期とされました。一年だけの延期のつもりが気づいて見ればあれから3年。やっと再開できたフランス運河の旅です。
港到着が午前中だったため港は閑散としていてレンタルボート カナルーCanalous社のオフィスには誰もいなく、観光船の運航のためのマダムが一人留守番をしていました。マダムに頼んで事務所で荷物を預かってもらい午後3時からの手続き開始まで町を散策することにします。
港の隣のレストラン ルレ・ド・カナルーRelais de Canalous でランチ。ブルゴーニュ特産エスカルゴを頼みます。大粒のエスカルゴは香り豊かで大変美味しかったです。
午後3時、港に戻り手続き開始。これから1週間我が家となる船に乗り込みます。スーツケースを開きベッドメークなどしているうちに技術者が来て、船内のキッチンやトイレなどの設備説明をし、その後舫いを解いて操船講習が始まります。キャプテンも4年ぶりのクルーズ船の操船とあってUターンのしかたとか忘れている点も多く、ありがたい講習です。
港に戻り本日はこのままディゴアン泊。というのももう一人のクルーO氏が列車の都合で午後6時到着予定なので、彼を待って明日クルーズを開始します。
午後6時、O 氏を駅で出迎え、荷物を船に入れ、3人でスーパーに行って当面の船に積み込む食糧などを買い、その後レストランへ。シェフが出てきてワン・プレートで出す料理とのこと。まずはフランス人のソウルフード、ステーキフリッツとフランスのハンバーガーを試しに注文しました。エスカルゴに軍配が上がります。
船に戻っておやすみなさい。
4月9日(日)
朝食後9時、いよいよ舫いを解いて出港です。
まずはロワール川沿い運河Canal lateral a la LoireをヌヴェールNeversの方角に。ロワール川を渡る運河橋を抜け、最初のロックへ。
実は私、日本を出発前に転んで右手首を骨折、手術。2週間たち腫れも痛みもかなり収まってきているとは言えまだ右手は使い物にならない状態なので、今回のクルーズ中はお料理もロックでのロープワークももっぱら男性2人にお任せします、と宣言していました。とはいえ実際にクルーズを始めてみればそうもいっていられないので、ロックに入ると、最初にロープを岸のボラール(杭)にかけて船の安定を保持する船首のロープはO 氏にお任せして、私は比較的力のいらない船尾のロープを担当することにしました。
最初のロックはかなり深いロックでしたが、ロックキーパーさんがいて岸から鈎をおろしてロープを取ってくれたので、スムースにロックを抜けることができました。キーパーさんに感謝。そしてささやかな感謝の印しとして浮世絵はがきを差し上げました。
最初のロックを抜けるとすぐ左折してロアンヌ~ディゴアン運河Canal de Roanne a Digoinへ進入します。
ロアンヌ~ディゴアン運河は別名〈静かなる運河〉とも呼ばれ、両岸には牧場が広がり牛さんたちがのんびりと寝そべっています。その間に小さな村が点在し、教会の尖塔が陽に照り映えています。
本日のランチは船を岸に舫って草上のピクニックです。椅子テーブルを船から下し、パスタを茹でて、さぁいただきます! おなかがいっぱいになって草に寝ころべば、草いきれに包まれ思わずうとうととしてしまいます。
午後、出発前に野の花を摘んで船のリビングテーブルを飾ります。
その後4つのロックを通り抜けて午後5時シャンビリChambilly着。
港で、シャンビリでは本日レストランが閉まっているのでトラックで売っているピザを買うか2.5㎞離れた隣町マルシニMarcignyに行くかどちらかだと教えられ、マルシニまで行くことにしました。船から自転車をおろし、男性2人は自転車で。私は手が痛いので自転車には乗れず歩きます。
マルシニの町は日曜日の夜とあって賑わっていました。町の中心の広場に回転木馬が設置されて子供たちの歓声が響き渡っています。大人たちは広場に置かれたカフェの椅子テーブルを囲んでアペリティフでのんびり談笑しています。私たちもほっと一息、広場を囲む一角にたたずむピザリアで本日の夕食です。
4月10日(月)
マルシニで月曜恒例朝市が開かれているそうなので行ってみることにします。また男性2人は自転車で、私は歩きで。ロワール川の橋を渡れば両側には牧場が広がり、牛さんたちがのんびり草を食んでいます。ちょうど子育ての季節なのか子牛の姿もたくさん見られます。歩道の脇の柵の中にロバが1頭います。近寄ると人懐っこくロバさんの方も私に近寄ってきます。白いたてがみの美しいロバさん。ご挨拶して鼻づらなどをなぜてあげると気持ちよさそうに目を細めています。離れてスマホを取り出すとカメラ目線でハイポーズ。かわいいロバさんとの出会いでした。
マルシニの町の広場は昨日にも増して大変な人出の賑わい。昨日の回転木馬は広場の隅に押しやられ、奥の方は服・靴・バッグ・小物などの売り場が広がり、手前側は野菜・果物・パン・ハム・ソーセージ・チーズ・オリーブなどの食料品店のテントがひしめき合って品物を広げています。自分用や子供と孫のお土産用にシャツや靴を買いました。混雑の中ではぐれていたO 氏とも合流でき、クルーズ中の食料品なども買います。串にさして丸ごと1羽を焼いたローストチキンも売っていてランチ用に買いました。生きているウサギや鶏も売っていましたが、さすがにそれは買えませんよね。広場のカフェの椅子はほぼ満席、それでも何とか3席だけ見つけて座って一息、隣席の人から話を聞けば、この朝市には町の人たちのみならず近隣の村々からも大勢の買い物客が押し寄せて1週間分の買い物をしていくのだそうです。
船に戻りローストチキンランチ。
午後3時発でブリエノンBriennonに向かいます。
6時着。ブリエノンは大きな港で給水電気設備もあります。船に水を満たし、電気を引こうとしたらなかなかプラグが合いません。隣の船の方に聞くと接続用のプラグがあるはずといわれ船中を探すと運転席の下の棚で見つかりました。無事電気も引き込め、これで電気カミソリも使え、スマホの充電も安心してできます。
4月11日(火)
9時30分出港、ロアンヌ~ディゴアン運河の起点ロアンヌRoanne に向かいます。
昼前に到着。町を散策します。この町には知る人ぞ知るミシュラン3つ星レストラン、トゥロアグロTroisgrosがあります。もちろんそういう超高級レストランに足を向けることなく、町の中央広場に面したアルザスレストランでランチ。なぜブルゴーニュ地方でアルザス料理なの?? でも大きなジャガイモが丸のままごろんと入ったシチュー料理はとても美味しかったです。
食後、町を散策。町の中央まで運河が入り込んでおり、そこが港で多くの船舶が係留されていました。初めて見る運河の行き止まりに、なるほど、運河の終い(始まり?)はこんな具合なのだとすごく感激し、納得しました。
町に沿ってロワール川が流れており土手を散歩しながら船に戻りました。
午後3時出港。ここからは来た道(運河)を戻ります。今夜もブリエノンで停泊。
港の管理者が停泊料金の徴収に来ました。昨日と今日2泊のところを1泊分にまけてくれました。電気使用料金も1泊分。今夜は電気を使わないことにします。
マルシニの市で初物のアスパラガスが手に入ったので今宵のメニューは茹でたてホワイトアスパラガス。フランスのこの季節の最大の楽しみですね。
4月12日(水)
今日は朝から雨模様です。
Canalous 社のA氏はこの運河添いのアヴリリAvrillyに自宅があります。A 氏とは家族ぐるみの友人です。本日はせっかくこの運河をクルーズ中ならと自宅にアペリティフに招いていただきました。
雨のなか運河に面した彼の自宅前に停泊しようと四苦八苦しているとA氏が自宅からバイクで降りてきて、奥様がまだ外出中なのでこのままクルーズを続けて次のクロワ・ルージュCroix Rougeの港で停泊したらどうかと提案してくださいました。クロワ・ルージュまであとで車で迎えに来てくださるそうなので、私たちはそのままクルーズを続けました。クロワ・ルージュには港の管理オフィスのようなものはなかったのですが係留できる場所があり、給水電気塔もありました。でもシーズンオフだったからか稼働しません。船の水がなくなってきているので今夜はシャワーが使えそうもありません!
6時ごろA氏が来てお宅へ。A氏ご夫妻には子供が3人。8歳の長女と6歳の二男、そして末っ子の男の子は3日前に誕生日を迎えて<僕は4歳>と自慢げに答えてくれました。子供たちにちょっとしたプレゼントに折り鶴を添えて渡すと、お姉ちゃんが部屋に飛んで行って持って来て見せてくれたのが、なんと、フランス語の折り紙の本。聞けば小学校で折り紙の授業があるのだそうです。びっくりですね。
A氏が奥から持ってきて見せてくれたのは、以前お土産に差し上げただるまさん。その折、願いをかけて片目を入れ、願いが叶ったらもう片方の目を入れるのだと説明していたのですが、見せてくれただるまさんにはちゃんと両目が入っていました。マダムAが二男の肩を抱き寄せながら<最初の子が女の子だったので次は男の子が生まれますようにとだるまさんにお願いしたらこの子が生まれました。この子はだるまさんが願いをかなえてくれた証なの>と。フランスの地で大切に飾られて、だるまさんも良い人生(だるま生?)を送っているようです。
美味しいアペリティフと楽しいおしゃべりの間にあっという間に時が過ぎ、お暇することになりました。雨上がりの庭で子供たちも一緒にみんなで記念の一枚をパチリ。
その後自慢の電気自動車テスラでA氏が再び港まで送ってくださいます。車から降りるとA 氏がスペクタクルを見たいか?と聞くのでなんのことかわからないままにうなづくと、突然大ミュージックが響き渡り、車の窓がするすると下り、フロントライトがピカピカ点滅をはじめ、車体が音楽に合わせて踊り始め、私の目は点に・・・
港に降りるとタイミング良く、運河の対岸のちょうど我が愛船の後ろに美しい虹がかかっていて、まるで映画のワンシーンのようでした。
4月13日(木)
午前9時発。最初のロックはキーパーさんのいないオートマティックロックです。まずロック前の運河上に下がっている竿をとらえて、1/4ほど回します。すると、信号が青(緑)になりやがてロックの扉が開きだします。ロックに入り岸に降りて、柱に垂れている青いロープを引きます。これがロック扉閉めのスイッチで後ろ扉が閉まり始めます。いつもならこれで良いのですが、今回は何故か途中で止まってしまいます。キャプテンがキーパー小屋の扉に表示してある電話番号に電話すると電話センターにつながり、ロック番号を告げるとロックキーパーさんの電話番号を教えてくれました。今度はキーパーさんに電話するとすぐに行くとのこと。待つこと10分足らずでキーパーさんが来て扉に挟まっていた流木を見つけ、外してくれました。かなり大きい流木でした。昨日の雨で流されてきたのでしょうが、水中に隠れていたため最初は原因が判らず、長いクルーズ経験の中でも初めてのことで少々慌てました。
昼前に出航港ディゴアンに到着。水の補給をし、隣のレストランでランチ。このレストランのおすすめランチはエスカルゴ入りのブルギーニョン(野菜と牛肉の赤ワイン煮込み)。これがまさに絶品。忘れられない味でした。
午後出港。ここからは隣町パレ・ル・モニアルParay-le-Monialに向かってセントラル運河Canal de Centreを行きます。ロックを3つほど超えて午後6時着。
町を散策し、途中で見かけたベトナム料理店で夕食。久しぶりにお箸を使っての食事でした。
レストランを出るとあたりは夕やみに包まれ始め、ライトアップされた12世紀竣工のサクレクール大聖堂が美しく夜空に映えていました。
美しい夜景を見ながら帰船。おやすみなさい
4月14日(金)
朝パンを買いに出かけたキャプテンからこの町でも朝市が開かれていると聞き、みんなで出かけました。お土産用に大きなチーズなど買い求め、大鍋で調理したパエラがとても美味しそうだったのでランチ用に買い、船に戻る途中昨晩美しくライトアップされていたバジリック(大聖堂)に立ち寄ると、ちょうど葬儀が営まれていました。
ランチ後出港。セントラル運河をディゴアンに向けて帰ります。
4時30分帰港。これで今回のクルーズは終了です。
荷物を整理、パッキング。船の最終清掃。カナルー社のオフィスで帰港と船の返却手続きをとりました。
3たび、隣のレストラン、ルレ・ド・カナルーで夕食。クルーズの無事終了を祝って乾杯します。前日のエスカルゴ入りブルギーニョンがあまりに美味しかったので、今回も同じ料理を頼み、味を堪能しました。
1週間に3度も日本人が食事に来たので、会計時に女主人が不思議そうに質問してきました。運河クルーズをしている、食事が美味しいので、以前A氏と来たよと答えるとそうか、彼は私の友人でもあるよとうれしそうに応えていました。
船に戻って最後の夜を過ごします。
4月15日(土)
今日は雨、寒い!
雨が小やみになったのを見定めて荷物を運び船を降ります。
お別れに一週間お世話になった船に一礼し、事務所によって挨拶して駅へと向かいます。
旅のヒント:「フランス運河の旅」発祥の地、ブルゴーニュ、中でも中心都市ディゴアンへはパリ、ベルシー駅からSNCF(国鉄)で途中乗り換えを含みますが3時間20分ほどで到着です。車を使わないクルーズザー(運河の旅人)にとって大変ありがたいのはクルーズ出発ベースが駅から徒歩5分程の場所にあることです。タクシーが簡単につかまらないフランス、特に田舎ではトランクを引いて石畳みを行くのは結構つらいものがあります。この点ディゴアンベースは特に日本人クルーザーにはとても行き易いベースとなります。食料品も駅、近くのスーパーで購入できますが、運河の旅に欠かせない、ミネラルウオーター、ビール、ワインなどの重量のあるものは取りあえず少量を購入し、行く先々の港、村のマルシェで手当てするのも良いかと思います。ただ、ディゴアンベースでは有料で「買い物サービス」を行っていますので前もって購入品を伝えておけば、乗船時にはすべてキッチンに並んでいることも可能です。