ミディ運河クルーズ (2012年5月 1週間)  

クルーズコース

5月18日(金)アグド
4時PMアグドのカナルー社のベースに到着。書類手続きを済ませ、簡単な船内説明と操船講習を受けて5時頃に出港します。レンタルしたのは、2人用の小さな1キャビンのボート,ルノー8000です。10kmほど走ったところで土手に舫い、今日はここまで。土手には一面の黄色いアイリスが咲き誇っています。
旅の始まりアグドのベース 赤信号手前で止まれ 野生の黄色アイリス 1キャビンのルノー8000 ミディ運河に雨が降る

5月19日(土)コロンビエ
朝8時30分出発。最初のロックに9時前に到着し、まだ開いていなかったのでロック手前で待機。一番でロックを通過し、ベジエBeziersの港で舫います。
自転車で町に買い物に行きます。ベジエはミディ運河建設の父ポール・リケPaul Riquetの生まれ故郷。この町の広場にはリケの彫像がすくっと立っています。その広場ではちょうど中世フェスティバルが開かれていて賑やかでした。中世の衣装を着てその頃の暮らしぶりを再現するテントがあったり、また出店がいろいろ出ていて、置物を買ったりしながらテントからテントへと店を見て回りました。その後ショッピングモールに行き、地下のスパーマーケットで食材などいろいろ買い物をして(もともとこちらがメインの目的でしたが)船に戻りました。
今夜はここベジエで停泊予定でしたが、天気が悪くなってきたので雨の降り出さないうちにフォンセランの7段ロックを超えることにして出港。まずベジエの運河橋を渡ります。
フォンセランの7段ロックはこのミディ運河クルーズのハイライトです。階段状に7段のロックが連続していて、一方通行で一気に7段を超えます。午前と午後に一度ずつ時間が決まっていて、上りと下りが交代します。今回は上りなので午後は4時にロックが開きます。ロック手前で待機していると、後ろから来た大きな遊覧船が先にロックに入り(遊覧船には優先権があります)1艘でロックを占領してしまいました。遊覧船が2段目のロックに入ると、最初のロック内の水位が下がりロック扉が開き、ようやく待機していたクルーズボートが入れます。一緒に待機していた3艘が一緒にロックに入り、そこから7段を超えるまでずっと一緒に進みます。ロック越えは、一人が船上で運転し、もう一人は降りて船の前方の舫いロープを持ったまま岸壁を歩きます。そう、ちょうど犬の散歩でリードを持って「ポチ、ついておいで!」といった感じです(ずいぶん大きなポチですが・・・)。ロック2段目に差し掛かった頃から雨が降り出し、あっという間にひどい降りとなりました。雨合羽の中まで水がしみこみ、舫いロープはずっしり重くなって、もう大変。約1時間ほどで無事7段ロックを超えました。ここは観光バスが来る観光名所でもあり、この日もバスが停まって観光客がロック超えを見物していました。その見物客からも拍手が起きます。私も思わず万歳!そして見物客に声を掛けました『Bonne journee良い一日を!』とあちらからも返ってきます『良い一日を!でも雨だけどね』。はいはい、でもロック越えは雨の中でも楽しかったですよ。
フォンセランで7段ロックを超えてしまうと、あと50kmほどはロックなしの区間が続きます。びしょぬれで寒かったので、とりあえずシャワー室に飛び込んで熱いシャワーを浴びました。やっと人心地がつき、という間も船は進み続けていて、今夜の停泊地コロンビエColombiersにつき、港に停泊しました。夕食は船で。フランスに来たらどうしても食べたい、ベジエで買った辛いソーセージ、メルゲを思いっきり食べて寝ました。
中世フェス王様と妃様?暇そう。 円卓の騎士? ページマーカーすべて中世のレプリカ 観光名所フォンセラン7段ロック  フランスに来たらどうしても食べたいメルゲ

5月20日(日)ヴァンテナック
水の補給をします。小雨の中10時ごろに出港。
カプスタンで舫い、運河沿いのかわいいレストラン バテルリーLa Batliere(女船頭)でランチ。美味しいランチでした。町を散歩してから船に戻り、クルーズ再開です。
午後6時半ごろにヴァンテナックVentenac-en-Minervois に到着。岸壁に舫うと、港の前のお城のような建物にまだ明かりが灯っていました。誘われて中に入ると、そこはワインカーブです。ワインの試飲をすると、ミネルヴァワインはとっても安くてとっても美味しいワインです。何本かワインを購入。売り場のマドモワゼルは修学旅行で日本に来たことがあるといって、日本の訳本を読んでいました。町を散策。夜中、船の屋根に雨と風に飛ばされてくる枝の当たる音がしていました。
カプスタンのレストラン女船頭 フランス人のソウルフード;ステーキフリッツ 船頭夫妻 ヴァンテナックのワインカーブ 日本は好きですと

5月21日(月)パラッツァ
船内の水が出なくなりました。幸いエンジンはかかるのでオンプHompsのベースまで行って技術者に見てもらうことにします。雨は降っていないものの風が強い(ミストラル?)中でのクルーズでした。久しぶりにロックがあり、ロックを超えます。
オンプで舫い技術者に来てもらいました。彼がバッテリーに問題がありそうだとキャビン内のベッドの下を覗くと、そこにあるバッテリースイッチがオフになっているとのこと。スイッチをオンにすると水が出ました。そんなところにスイッチがあったのですねぇ。夜暗い中でベッドを降りるとき、知らずにスイッチを蹴って切っていたようです。これで一安心。船は陸電が引き込めないタイプなので、ベースのオフィスでケータイとカメラの充電を頼みます。オフィスが昼休みで2時間ほど閉まると聞き、私たちもランチに町まで出かけます。
2時に戻ってきて出港します。ここから引き返すことにしました。
6時半ごろパラッツァParazaで停泊。隣の船の手招きでワインをぶら下げて船を訪問。7人の船でオートサボア・ジュネーブ近郊に住むバトミントン仲間の船だとか。シャンパンの仲買人とONU(国連)に勤めている女性など、みんなで写真を撮ったりメルアドを交換して楽しく歓談しました。
ミディではどこでもペタンクガ盛んです 生野菜が不足しますので。家庭菜園 町で見かけただまし絵(どこまでが?) バトミントンの仲間だそうです 気持よい曳舟道のサイクリング

5月22日(火)カプスタン
今日も風が強い日です。ヴァンテナックでレピュードロ運河橋Le Pont Canal de Repudre(リケ本人の設計で作ったといわれている運河橋です)を渡り、アルジュリエArgeliersでちょっと一休み。船を舫って町を散策するも何もありませんでした。カプス
タンに6時到着。今日は一日中クルーズしていました。
運河のランドマークとなるカプスタンの教会 ミディ運河に係る橋は歴史を感じさせます なんとなく良いデザインですね 運河の旅人用に船の雑貨屋さんがあります。予約でパンも買えます 個人所有の船も走っています 

5月23日(水)ヴィルヌーブ・ド・ベジエ
カプスタンを出港。コロンビエの手前にあるマルパストンネルTunnel de Malpasの桟橋に舫い、山の上のアンセリュン遺跡Anseruneに行きます。自転車で上っていたのですが、途中できつくなって、そこで自転車をチェーンで木に括り付けて置いて行きました。ここは紀元前5~6世紀ごろのローマの町の遺跡です。ミュージアムがあってローマ時代の遺物などいろいろ展示しています。またここから見下ろすと下には放射線状の溝を刻むモンタディ池Etang de Montadyが見えます。普段は乾燥した畑地となって居て、大雨が降ると広い池となり、雨水は放射線状の溝を通って中央の地下貯水池に集められやがてミディ運河に注がれるそうです。1284年につくられ、今も現役で使われている世界に類を見ない大雨・排水機能を持つ灌漑システムです。
船に戻り、マルパストンネルを潜り抜け、再び7段ロックを超えてヴィルヌーブ・ド・ベジエVilleneuve de Beziersに到着、停泊。
1時間ほど運河沿いのサイクリングロードとなっている曳船道をサイクリング。どこまでも走っていけそうなほど気持ちがいいです。船に戻って夕食の後、まだ明るいので(この時期は9時を過ぎても明るいままです)今度は曳船道を散歩していると、ヌーメリア(ヨーロッパかわうそ)の姿を3匹ほど見かけました。
マルパストンネル上からの眺め トンエンル入ります! アンセリュン遺跡とモンタディ池 ミディ運河(1667年)の下に鉄道(1855)その下に排水溝(1247) こんなのいました。

5月24日(木)アグド
まだもう一日余裕があるのでトーThau湖まで行けるか計算すると、トー湖の灯台まで約4時間半、灯台からアグドまで約2時間。合計 6時間半となりトー湖まで往きアグドに戻るのは十分可能なので今日はベースのあるアグドで水を補給した後、トー湖まで日帰りすることにしました。
7 :45発。ベースで給水後まず円形ロック入る。円形ロック(これもミディ運河のできた当時から変わらず使われている名物ロックです)はとても大きくどこに船をつければよいのか迷うほどでした。午後1時半にトー湖の灯台に到着。灯台を超えてトー湖に入ると波が高いので、戻って手前の桟橋に舫います。自転車でマルセイヤン港Marseillanまでサイクリング。マルセイヤンでランチして、お土産にカマルグのミネラルたっぷりのお塩やプロヴァンス風ハーブなどを買いました。町をぶらぶらしてから船に戻り、アグドに戻ります。
町から外れて暗いところなら星がきれいに見えるかもとアグドから1kmほど離れた場所に舫いました。正解!星がとてもきれいでした。
運河の横にはレジャーランドが 大型観光船が3艘は入る円形ロック トー湖入り口ランドマーク灯台 マルセイヤンはマリンリゾートです ミディ運河の夜は更けて

5月25日(金)アグド
朝8時発でアグドのベースに戻り、船を返却。

7段ロックを超えればロックもほとんどないミディ運河をのんびりゆったり、楽しいクルーズでした。行きの7段ロック越えは大雨の中で大変でしたが、その分思い出に残るロック超えでした。
旅のヒント:今回はスケジュールの関係から金曜出港となり船の選択肢があまりなく、また夫婦2人で7段ロック挑戦なので操船が容易だろうと小さな1キャビンのルノー8000をレンタルしましたが、操船はともかく、陸電が取れなく、カメラ、PCなどの充電にいちいちハーバーオフィスを訪れるのは厄介でした。
7段ロックは1人が岸壁に下り、船首の舫いロープを常に保持しながら進めるので思っていたほど困難ではありませんでした。ただし今回のように降雨にあうと、1時間半超の長丁場ですので大変です。雨具の用意を忘れずに。また順番待ちを十分考慮しておきましょう。

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