バイーズ川クルーズ (2002年5月 1週間)

クルーズコース

5月18日(土)
12時30分ビュゼBuzet sur Baise到着
ビュゼのナヴィガシオンダキテーヌ社Navigation D’Aquitaineのクルーズベースに早めに到着したのでベースに荷物を置いて町のレストランで食事(ランチ定食14ユーロ)。とても美味しいけれどとても量が多いランチね。船内調理用の食材などを買い、ベースの技術者による簡単な船の設備説明と操船講習を受けた後、午後4時30分出港です。
午後6時40分ヴィアンヌVianne着。自転車で町に出て買い物&サイクリング。船に戻って夕食。停泊地では、前は同じビュゼからクルーズしてきたフランス人夫婦、後ろはダマザンDamazanから来ている夫婦の船でした。川は流れがほとんどなく(0.7m/sくらいか)船が揺れることもありません。夜はとても星が綺麗でした。

5月19日(日)
9 時40分ヴィアンヌ発
ラヴァルダックLavardac近くのPK41で停泊。このクルーズ最初の訪問地は、13世紀に作られ後にアンリ4世の水車小屋となったバルバストBarbaste水車小屋です。ここではコルクを作っていて、その説明がとても興味深いものでした。コルクのはがき(2ユーロ)を買いました。水車小屋の水辺ではイーゼルを立てて絵を描いている人がいました。絵を描きたくなるような景色でした。
ネラックNeracに停泊。ネラックにはアンリ4世生誕の城があります。16世紀のフランス、アンリ4世はこの地方の領主の家に生まれ、後に後継者問題でゆれたフランス王家に入ってフランス国王となりました。
教会も綺麗でした。教会内にミュージック(クラシック調)が流れているのにびっくりしました。
隣の船はボルドーから来たという2組の夫婦。一人がロゼを持ってきてLangue D’ocとLangue D’oile(方言、フランスの北と南で異なる言語)の話などをしました。
停泊料金は5ユーロ。水の補給。船の両サイドの注水口から注水してかなり入りました。

バイーズ川の畔の絵描きさんアンリ4世の館ネラックの町

5月20日(月) Pentecoteの祝日(聖霊降臨の大祝日:復活祭後の50日目)
10時出発 さて、走り出して気づくと、運河のロック開閉用のカードが半分に割れかけていました。ロックキーパーに相談すると、セロテープで貼ってくれてこれで大丈夫!ですって。えー!こんなので大丈夫?と疑問だったけれど、無事ロックは作動しました。フランスですねぇ!
14 時20 分モンクラボーMoncrabeau着。ここで停まって昼食・・・の予定だったのに、遅れて港に停まったのは2時を過ぎていました。レストランはもうランチ時間は終了。ではお惣菜を買って船で食べようと思ったら、お店も全部昼休みで閉まっていました。フランスでは、パリはともかく地方都市では、いまだにお昼休みは4時間ほどしっかり閉店してしまうのですねー。仕方ないので船で、買い置きのパスタでランチを済ませました。ステキな運河沿いのレストランで美味しい郷土料理が食べたかったのに! 夜までお預けです。
出港。6時コンドンCondom着。町のレストランで夕食(30E)。夜中にスコールが降りました。

コンドンの港流れのない川です自転車も積んでます

5月21日(火)
今日から平日です。
朝食後町中のコインランドリーに行き、洗濯を待つ間に教会を見てから観光協会へ行きます。ここで町の観光案内CD-ROMをもらったりしていると見知らぬフランス人に話しかけられました。「私の主人はタルツクリ職人です」<タルツクリ>の部分だけ日本語だったので理解できなくて何度か聞き返してやっと日本語だと気づきました。彼女、クリスティーヌさんは日本語を勉強していて、日本に興味があって、日本人を見かけて話しかけたそうです。ご主人ジョエルさんの樽製造工場に案内したいとの申し出。喜んで案内していただくことにして翌日午後4時に港で待ち合わせることにしました。
出港。コンドンの先のファラン修道院Abbaye de Flaranの桟橋に舫います。ここは回廊がとてもきれいな修道院です。中庭にヴィクトル・ユーゴー(レ・ミゼラブルの作者ね)の詩が書かれた碑が立っていました。
桟橋に戻るとフランス人の若いカップルのボートがエンジン(プロペラ)を泥に取られ動けずに居ます。手助けして無事脱出。良かったですね。
4時ヴァランスValence-sur-Baise着。ここが今回のクルーズの引き返し地点となります。この港は停泊無料です。水を補給。陸電もコインランドリーもありました。港管理のおじさん(65歳ぐらい?)がひどい訛りで話します。
町は城壁で囲まれていて夜はライトアップされます。町で買いもの。レストランは休みだったので船で夕食。夜とはいえこの季節は9時ごろまで明るいので、近くのシャトーまでサイクリング。シャトーは無人でした。夜中に少々の雨。

ファラン修道院回廊今から水が入ってきます川辺でランチ、ホッ!

5月22日(水)
朝食後隣の船のフランス人夫妻と話を交わしました。5年以上もずっと船で暮らしているそうです。今の船(38フィート)は2年前から乗っていて、今までにブラジルで2年半クルーズしたり、地中海を1年かけて一周したり、2年で500kmクルーズした時もあったのだとか。船上生活は快適だけれどメンテはそれなりに大変だとぼやいています。メンテのための工場はあまりないのでほとんど自分で修理しているそうです。船には犬も乗っていて、彼は中国犬だと紹介してくれました。
出港。復路。雨が降り始めました。合羽の出番です。
午後1時再びコンドン着 買い物してレストランで食事。
約束の時間にクリスティーヌさんが港に迎えに来てくれました。工場は港から3kmほどの所にあります。
ご主人ジョエルさんが手作りの樽つくりの工程を親切丁寧に実演しながら説明してくれました。樽は樫の木、それも太いものを縦に7等分し、1つから3本計21本の樽枠木を取り、之を大・中・小と3本1組とし、何組かで樽1個分となるそうです。そんな大きな樽にたがをはめ込む様子などとても興味深く見せてもらいました。すっかり仲良くなり、お土産に卓上用のアルマニャック樽をもらいました。(後日談ですが、帰りの飛行場での手荷物検査で怪しい影が見えるのでかばんを開くようにといわれ、中からアルマニャックの樽が出てくると、近くに居た空港職員たちも集まってきて歓声を上げました。)
その後、クリステイーヌさんはアルマニャックの葡萄畑に案内してくださいました。ここのアルマニャックはジョエルさんの作る樽で静かに眠っています。農産物展で金賞を取ったというとても美味しい1976年産のアルマニャックを購入しました。そこの庭の桜の木にはたわわにさくらんぼが実っていて、どうぞ摘んで食べて、といわれて頂いてみるととっても美味しいさくらんぼでした。いい季節ですねー。
クリスティーヌ・ジョエル夫妻はその後もずっと付き合いの続く友人です。

”メンテが大変だよ”樽職人ジョエルさん全て彼の手作りアルマニャックの葡萄畑金賞を買いました

5月23日(木)
10時発 雨はあまり強くないけれどロックに着くたび強く降り出します。心がけが悪かったかしら?合羽が役立ちます。
午後4時30分ネラック着 
船の掃除、水を補給後に町へ出かけましたベトナム人の中華料理店(?)で夕食(33E)
主人はベトナム人、ボーイは中国人。共にサイゴン陥落時サイゴンに居たとか。主人は砂糖工場で働いていて直ぐアメリカに逃げ、一方ボーイは3年ほどキャンプに入れられ、食事もまともに取れず小さいボートに乗せられて、追い出されたそうです。今はツールーズに住んでいるとか。
船に帰ると隣のボルドー人が、「雨が降ったので川の水量が増しているけれど、夜中には水面が下がるので舫いをゆるくするように」と忠告してくれました。

5月24 日(金)
朝水量が増していてボートが岸に上るくらいでした。
キャプテンリーに行って聞くとロックが閉鎖されて出港できず、2~3日足止めとのこと。キャプテーンリーから船をレンタルしているアキテーヌナヴィゲーションのオフィスに電話してもらい、午後まで待機となりました。
川のほとりの公園にサイクリング、きれいな女性像の噴水を見つけました。フルーレットの噴水。案内板によれば、小作人の娘フルーレットはアンリ4世の恋人でしたがバイーズ川に投身自殺しました。<アンリは一日だけの恋をし、フルーレットは生涯をこの恋に捧げました>とありました。16世紀の悲恋物語ですね。
また、ネラックのチョコレートを食べなければ人生の損失!と町の人に教えられて、チョコレート工場を訪ねました。美味しいチョコレートをたくさん買いました。
船に戻ると隣の船からフランス人マダム方が来て今夜7時に船で一杯やろうとのお誘い。ベースから電話があり、クルーズはここネラックで終了、ビュゼに戻ることなく今晩はここで船中泊とし、ベースから迎えの車が出るのでビュゼにおいてきたレンタカーを取りに行くことになりました。3時ごろ迎えが来て隣人達と共に車を取りに行きます。
戻る途中で目にしたビュゼのワイナリーシャトーにワインを買いに行きます。今夜のためのワインね。とても安くて美味しいワインを売っています。量り売りもあるのでフランス人は瓶を持ってきて買って行くそうです。
夜、ワインを1本ぶら下げて、お声のかかった隣の船を訪問しました。
4組の夫婦で皆さんナントの近くの町から来ているそうです。互いには知らない同士が旅行社(?)のアレンジで1艇に乗船しクルーズしているそうです。一緒に写真を撮り後日送る約束をしてメルアド交換しました。船に戻りスパゲティーを食べに行くことにします。食後川辺を散歩。後足が1本ない犬を散歩させていたドイツ人と立ち話をしました。ドイツに住んでいてオランダにボートを係留しているそうです。6週間かけてドイツから来て、今から帰る途中とのことでした。

バイーズ川に身を投げたフルーレット蝉Cigaleなるチョコレート名店ロックレストラン知らない同士4組の夫婦が1艇を借りてクルーズだそうです

5月25日(土)
9時30分 ベースから人が来て船の返却。燃料費を101ユーロを支払いました。

運河と違い、川では時々増水によるクルーズ中止などのハプニングが起こるそうですが、それもクルーズの楽しみの一つですね。お天気の神様には勝てません。
いろいろな人と出会い、思いがけない良い友人を得、楽しい体験がいっぱい詰まったステキなクルーズでした。
さて、次はどこの地方でクルーズしましょうか??

私でも運転できますどこでもペタンク今宵の宿場岸辺のレストラン

旅のヒント:運河は降雨が続くと排水で水位の維持をしていますが河川は増水で場合によっては航行不能となります。特にバイーズ川やロット川は秋、時に春、この可能性があります。河川クルーズをご予約の際には前日ベースに電話をして航行可能か確認してください。航行不能な場合には近くの運河でのクルーズをご用意します。またクルーズ中に降雨にあった場合にはキャプテンズオフィス(キャプテンリー)の情報にご注意ください。

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