13. ニヴェルネー運河クルーズ(2019)

クルーズコース

5月25日(土)
パリ(ベルシー駅)から電車で約2時間、クーランジュCoulange sur Yonneという小さな駅に降り立ちました。ここからレンタルボートのある港までは歩いて約10分ですが、みんな大きなスーツケースを抱えているのであらかじめタクシーを頼んでいました。
港に到着・・・え?あら?びっくり! レンタルボートの事務所は閉まっていて人気がなく、港に船も浮かんでいません。あわてて連絡すると、何と、出発の港が一ヶ月前から2つ隣村のメリー・ル・シャトーMailly-le-Chateauに変更になっていたというのです。連絡があったはずですが行き違いになっていたようです。そのままタクシーで12kmほど離れたメリーに向かいます。一度に5人と荷物は乗れないといわれ、タクシーに2往復してもらいました。メリー港ではすでに用意万端整えられたボートが私たちを待っていました。
クルーズにハプニングはつき物ですが、今回は出発前から小さなハプニングに見舞われてしまいました。これで厄落しとなるかしら。レンタルの手続きを済ませ、簡単な操船講習と船内設備の説明を受けて、さぁいよいよクルーズに出発します
それでも通常より1時間早く午後3時の出港で本日は隣村のシャテル・サンソワールChatel-Censoirまでです。世界遺産のヴェズレーに行く基地として知られている小さな村は、丘の上に教会が建つかわいい村です。
まずは村の小さなスーパーに、船に積み込む食材や調味料と飲み物を買いに行きました。自転車3台を船から降ろして乗っていけば荷物も持てる・・・と思ったら、ここで第2のトラブル発生! 自転車のチェーンロックキーの番号が書いてある紙が、風に飛ばされて運河の水の中に消えて行き・・・番号のわかる一台だけしか使えないことになりました。でも心配することはなく、店主に話すと閉店後に港の船まで配達してくれることになったので、安心して水など重いものもたくさん買い込みました。船で過ごす一週間分の食料です。
本日はエタツプ・ド・グルメという美味しそうな名前のレストランで出港記念のウエルカムディナーです。この店お勧めのメニューは地場の食材だけを使った料理。特に松坂牛と並び世界3大美味と賞賛されるシャロレ牛のステーキは絶品でした。

Bercy駅ブルゴーニュ地方へのターミナル 全くの無人駅ベルシーからの電車が走り去ります メリー港にはアイリスが咲いていました メリー港を出るとすぐシャテル・サンスワールに続く丘が出てきます 早速最初のロック作業です シャテル・サン・スワールの港に係留中の我らがTarpon 37 ウエルカムディナーのメインシャロレ牛のステーキ 港に夜のとばりが 
5月26日(日)
朝目覚めると、シャテル・サンスワール港は朝霞に包まれて幻想的でした。
朝、まずボート会社に連絡して、自転車のロックキーの番号を教えてもらいました。これで万全です。
朝食後タクシーでヴェズレーへ、『永遠の丘』上に聳え立つ世界遺産のバジリカ聖堂を目指します。聖堂正面は残念ながらお化粧直しの最中で足場が組まれ、目隠しされていましたが、ロマネスク建築の最高傑作と言われる内部は素晴らしかったです。
ここは聖地巡礼「コンポステーラ」のフランス側の出発地となっています。
丘の上からはブルゴーニュの素晴らしい展望が開けていました。村の小道をぶらぶら降りてくると、途中にロマン・ロランが晩年を過ごした家の前を通りかかったので、ミュージアムになっている家を訪れました。日曜で入場は無料、しかも明日行く予定のクラムシ―の
ロマン・ロランミュージアムも今日の切符で入れるとのこと二重の喜びです。
昼過ぎに港に戻り、出港してパスタを食べながらの操船、クラムシClamecyを目指します。
クラムシではクスクスレストランを見つけ、今夜のディナーはクスクスで決まり、美味しかったです。
ブルゴーニュでクルーズしていると太りそう。

早朝目覚めると港は朝靄の中 永遠の丘にそびえるサント・マドレーヌ・バジリカ聖堂 聖遺物が祀られている地下礼拝堂 祭壇の透明ケースの中にマグダラのマリアの聖遺物とされるものが 聖堂の庭園からはブルゴーニュの田園風景が一望できます 聖堂からの坂道にはスペインコンポステーラまでの巡礼道を示す聖ヤコブのシンボルホタテ貝のマークが埋め込まれています ヴェズレー永遠の丘への坂道をお店を見ながら下ります バジリック聖堂への坂道には楽しくなるお店が並びます ロマン・ロランの家には親交のあったピカソの作品が多くありました フランスに来ると食べたくなるクスクス料理
5月27日(月)
クラムシで朝スーパーに行き、食材を補充します。冷蔵庫がいっぱいになりました。
ミュージアムが開くのを待ってロマン・ロランミュージアムに行きます。昨日の切符が有効でした。2階にシャルル・ルポのグラフィックの展示があり、とても素敵で印象深いものでした。3階はロマン・ロランの書斎の再現展示、及び二ヴェルネ運河の歴史資料展示室で、これもまた興味深く見ました。
クラムシはまさにフランスの美しい小さな村です。散策していて飽きません。
午後に出港、本日はフレ・クジFlez-Cuzyで停泊します。ここから2kmほどのタネ村Tanneyのワインは生産量が少ないのであまり一般に知られてはいないけれど、知る人ぞ知る逸品だそうです(初日のエタップ・ド・グルメの女主人の話です)。夕食は港近くのレスタミネという小さいけれど親切で美味しいレストランで地元料理、ブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)をいただきました。タネの白ワインで特にムロン銘柄が美味しいというのを頼みました。本当にとても美味しいワインでした。

二ヴェルネ運河の歴史と今
二ヴェルネ運河は18世紀にパリの暖炉用の薪が不足したため、モルヴァンとバゾワの森から切り出した丸太を1mほどの長さに切り揃え、森の小川から流し、クラムシで集めて筏に組みなおし、ヨーヌ川からセーヌ川を経てパリまで流した、という筏流しの歴史と分かちがたく結びついています。パリで販売するときに誰の切り出した丸太かが判別できるように、丸太の一本一本に焼印を押したそうです。大変な作業だったことでしょう。
            (ロマンロランミュージアムの資料より)

森の中を縫うように行く二ヴェルネ運河は、自分でボタンを押して上下稼動させる跳ね橋あり、16段連なったロックあり、若き芸術化たちが運河の岸辺に作品を展示している箇所あり、3つのトンネルありのクルーズ客には人気の変化に富んだ運河です。大自然を満喫できます。
ただひとつ困ったことに、あまりに大自然の中のため運河の途中の何箇所かはいわゆるホワイトゾーンと呼ばれるスマホの通信圏外に当たるのです。それでも村の港に停泊すると通信が復活したので安心していたのですが、3日目あたりから港でも通信圏外となりました。ハーバーオフィスで尋ねると、以前は二ヴェルネ運河WiFiで繋がっていたそうですが最近は調子が悪くてほとんどWiFiが繋がらないのだそうです。かくしてスマホはただの写真機となりました。
久しぶりのスマホのない生活。それはそれで快適かも・・・
運河の分水嶺ベイ湖に到着するとまた通信が復活しました。
閑話休題

ルポのたばこSATOの広告ポスター ロマン・ロランの日本語訳小説も展示されています ロマン・ロラン受賞のノーベル文学賞メダル クラムシ―に流れ着いた木材。ここで筏に組みパリまで運びます 木材1本づつ押す各社の焼き印 1892年第8回『投げ入れ』の各焼き印ごとの集積表 筏をパリはノートルダム寺院近くまで運びました クラムシーベツレヘム橋の中央に建つ筏師の像  
5月28日(火)
フレ・クジを後にしてコルビ二Corbignyを目指します。運河は大自然の中、森を抜けて走ります。あたりはシーンとして聞こえてくるのは鳥のさえずりばかり。途中運河を横切る跳ね橋型の歩道橋が何箇所かにあります。橋の手前で一人が船から降り、橋のたもとに設置されたボタンを押して橋を上げ、船の通過後にまた元に戻しておきます。このゴッホの絵を思い出させるような小さなかわいい跳ね橋は二ヴェルネ運河の名所となっています。
跳ね橋やロックの間の距離が短い箇所では、船から自転車を降ろして先回り、運河脇の曳船道がサイクリングロードとして整備されています。サイクリングもまた快適です。
停泊した港からコルビ二村までは2kmほど離れています。2人が自転車で村まで買い物に出かけました。水や果物の補給です
夕食は船内で、今日のメニューは何とエスカルゴ!です。スーパーで購入した冷凍エスカルゴを船内のオーブンでほっこり焼いて。各自12個ずつのエスカルゴ!
温野菜やソーセージを添えて・・・美味しい!

ニヴェルネ運河を颯爽と進むTarpon37 モルヴァンの森の外縁を行くニヴェルネ運河は幅は狭くても筏流しを考えてか直線が多くあります 運河の旅に自転車は欠かせません。買い物や曳船道のサイクリングにも 跳ね橋は地元住民の生活道路必ず閉めましょう ロックは12時には閉まります。ロックキーパーの昼休みです。こちらもロック内にボートを係留し昼食です フランスはサイクリングが盛んです。サイクリストの一団が物珍しく寄ってきます 運河のほとりには黄色のアイリスが自生しています フランスでは車でも船でも直取引が盛んです。船売ります 
5月29日(水)
コルビ二を朝出港して、二ヴェルネ運河のハイライトであるサルディSardyの16段ロックに向かいます。サルディから先はロックが近い距離で16箇所続きます。今は使われていない何箇所かのロックキーパーハウスに芸術家の卵たちが住み着き、陶器を焼き、或いはオブジェ製作をして運河の岸辺に展示しています。16段ロックのうち4つほど超えたあたりに水面が広がり停泊できる箇所があるので本日はここまで、大自然の真ん中で一夜を過ごします。
到着が5時ごろだったのでみんなで運河の岸辺を、オブジェなどを眺めながらぶらぶら散歩します。6月のフランスは日が長く、10時近くにならないと夜になりません。
夕食には日本から持ってきたカレールーを使って久しぶりの日本食 カレーライスを作ります。お米はフランス産、ちょっとパサついていたけれど、なかなか美味しくできました。
誰もいない大自然の中、運河のほとりで食べるカレーライスというのもなかなかに乙な味わいでした。

霜降りではなく赤身が美味しいシャロレ牛。全身白色 女性のロックキーパーも結構います。彼女は学生バイトとのこと 16段ロックの始まりですと背後のロックキーパーハウスの壁に書かれています このような木製手押しロックもあります ロックキーパー同士の情報交換の様です ロックとロックの間の停泊地。d星が綺麗でした 展示作品1 ロックキーパーハウスも作品に生まれ変わります 展示作品2 舫杭ビットも芸術的になってます
5月30日(木)
サルディロックの残り12段、岸辺に飾られたオブジェなどを楽しみながらゆっくり超えてゆきます。
6段超えた第6ロックの岸辺には、J・Jと呼ばれている元ヒッピーおじさんのカフェがあり、美味しいクレープを焼いてくれると評判です。楽しみにしていたのに、第6ロックに着くとJ・Jの姿は見当たらず ,ロックキーパーさんに尋ねると、「J・Jは気まぐれなのでいつもいるとは限らない。今はちょうど買い物に行っているようなので待っていればそのうち帰ってくるだろう」とのお返事。後ろに次の船がロック待ちしているし、まさかいつまでもJ・Jの帰りを待つわけにもいかないので、残念ながらクレープはあきらめて先に進むことにします。
16段ロックをすべてクリアすると、その先には二ヴェルネ運河のもうひとつのハイライト、コランセルの3トンネルが待っています
4.8kmにわたる細い水路の途中に3箇所のトンネルがあり、その区間はずっと片道航行に規制されています。つまり、その区間は自分の船一艘だけで二ヴェルネ運河を独り占めするのです。素敵でしょう?
最後の長いトンネルを抜けると、その先には広いベイ湖が広がっています。ここが二ヴェルネ運河の分水嶺です。今日は湖の港に停泊します

ロック作業はできる限り手伝いましょう。待機時間も減りますし JJカフェには色々面白い物があります JJのいないJJカフェで JJカフェのメニュー。クレープーが1.5€ コルセラン水道の入り口にはロックキーパーが操作する信号機が設置されています 一方航行のコランセル水道。陸からのアクセスはできません。事故の起きないよう祈りましょう コランセル水道には3個のトンネルがあります 無事3個のトンネルを通過し外へ出ます ベイ湖のハーバー 家族で釣りを楽しんでいました。結構釣果ありました
5/31(金)
ベイ湖は運河に水を供給する貯水池の役割を果たしています。広々とした気持ち良い湖はクルーズ客のみならず、キャンピング客にも人気の湖です。
ここまで上りで来たのですが、ここからは下りとなります。
港を出港しロックをいくつか超えてゆくと、岸辺にレストランのあるロックが出てきました。レストランではちょうど大人数のグループがランチの最中、立ち話になり、グループのお一人のバースデーパーティーだというのを聞き、気持ちだけのバースデープレゼントにとちょうど持っていた日本の版画のポストカードを差し上げると、とても喜んで下さり、ハグしてくれました。こういう一期一会の出会いもまた運河クルーズの楽しみの一つです。
いよいよシャティヨンに到着、今回のクルーズの終着点です。
今夜はちょっと贅沢に、地元の美味しいオーベルジュでフェアウエルディナーです。オーベルジュ・オテル・ド・フランスというこの店は、なんとミシュランガイドの第一号に掲載されていたというチョー老舗のレストランで、地域のレストランコンテストで一位に輝いたことがあるそうです。デザートまでおなかいっぱい食べて、みんな大満足でした。
夜、荷造りを終えて外をのぞくと満点の星空! 前日までは夜になると雲が広がって星があまり見えなかったのですが、最後の夜に広がる星空は神様のプレゼントかも・・・
あ、流れ星!! 願いが叶うといいですねー

ロマネスク教会に白いシャロレ牛,正にブルゴーニュの景色です ロック横のロックレストラン雰囲気いいですね 金髪のロックキーパー。手伝いましょうか? シャティオン・アン・バズワにはシャトーがあります 
町中を川の流れる綺麗な町ですシャティオン・アン・バズワ 1906年のミシュランガイド初版本にも掲載されているオーヴェルジュ・ホテル・ド・フランス シャロレ牛も様々な料理法があるようです 女主人とも4度目の対面です
6月1日(土)
朝9時にボートを返却、頼んでいたタクシー(今回は大き目のワゴンタクシーでした)に全員で乗り込み、ヌヴェールNeversに向かいます。
ヌヴェール駅前にて解散。再会を約し、電車でパリに向かう組とレンタカーで次の目的地に向かう組とに分かれました。

キャナル―のシャティオン・アン・バズワベース キャナル―のベーススタッフ
旅のヒント:ニヴェルネー運河はパリから近くパリ・ベルシー駅から普通電車で2時間半ほどで出発ベース、メリー・ル・シャトーに着きます。また運河からヴェズレーに行くには隣村のシャテル・サンスワールが最寄りの村となります。世界遺産のサント・マドレーヌ・バジリック聖堂もマグダラのマリアの聖遺物に疑問符が付いてしまったので人気が陰ったようですが、ブルゴーニュの広大な景色を眺めるのには最適な場所です。幾つもある跳ね橋はやはり遠くに見えて来たときには少々身構えます。クルー一人が下船しボートに先行して電動ボタンを押し、ボートの通過後またボタンを押し橋を下げて閉めます。そして次の跳ね橋に向かうわけですがボートに先着するにはやはり自転車が不可欠です。船上のキャプテンと息を合わせタイミングを計りつつ7~8つある跳ね橋群を通過します。その後出現する16段ロックはロックキーパーがいますが最大限作業を手伝いましょう。コランセル水道は森の静寂と3つのトンネルの暗闇を楽しみながら慎重に進みましょう。最後の夜はやはり初版ミシュランガイドに掲載されていたオーヴェルジュでブルゴーニュ料理を楽しみましょう。

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