運河の旅

運河や川を船でクルージング、というと皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
長良川の鵜飼とか、木曽川の川下りとか、、、
ヨーロッパの運河の旅はそういった日本の川遊びのイメージとは大分異なります。
日本は江戸時代には運河が物資輸送や人々の移動に欠かせない手段でしたが、ヨーロッパでも事情は同じでした。ただ日本の運河は明治になってその役割を終えたようですがヨーロッパでは今も人々に愛され、レジャーの主役になっています。運河はヨーロッパ大陸をあまねく巡っています。ヨーロッパでは域内の特に大きな運河は規格を統一するなどして国際間の物資輸送にも使われていますし、比較的狭い、小型の運河については、港を整備し観光、プレジャー用に開放したのです。特に1980年代から、免許不要の15m以下動く水上のコンドミニアムと呼べる寝室付きの船舶(ボート)が導入されて、一段と人気が出だしたのが、このサイトで紹介する運河の旅です。
運河の旅 即ちボートを借り、水辺ガイドを見ながら自分で操船し、時にカワウソや青鷺を眺め、ロックキーパーを手助けし、ロックを越え、自転車で朝市に買い物に行き、地場の食材で料理をし、田園風景を眺めながらデッキで家族と食事をし、夕暮れの曳き舟道を散歩し、ワイン片手に星空を眺め、シャワーを浴びて、静寂の中でキャビンのベッドで眠り就く。朝はロックキーパーの教えてくれた村のおいしいパン屋さんにクロワッサンを買いに行き、デッキでカフェオレを飲みながら水辺ガイドでその日の予定を立てる。何処まで行くかはあなた次第。気の向くままに4,5日から1,2週間ほど田舎の村や町、遺跡や史跡などを訪ねる船旅です。
狭い我家ながらも、フランスに住んでいるような気にさせてくれるのが運河の旅の魅力です。
ではそもそも運河とはこちらをどうぞ。

今日はこの桟橋で碇泊です

フランス人は勿論、ヨーロッパ諸国、特にドイツ、オランダまた、アメリカ、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、最近はロシアなどからも多くの人々が自分メイドの休日を楽しみに訪れています。子供を連れた家族、夫婦、仲間同士。また時間的にも余裕のあるリタイヤ―後のシニア―夫婦が単独で、または何組か連れ立って楽しまれているのもよく見かけます。

どこでボートを借りるの?

フランスでは運河がいたるところを走っていて、あちらこちらに運河(一部河川や湖)の旅を楽しむためのボートを貸してくれる船会社があります。ですから、まずどの地方を旅したいかを決めて、その地方にベースを持つ船会社を探します。

ポンタイエのベース

たとえばフランスの運河でもっとも愛されているのは
ブルゴーニュ地方のニヴェルネ運河:美食とワインで有名な地方ですね。
②ボルドー地方のシャラント川、ロット川、バイーズ川:河川には運河と違う魅力があります。ここもワイン、コニャックで有名ですね。
③ミディ運河:南仏はプロヴァンス地方の穏やかな風景の中を走る、ヨーロッパでも最古の現役運河。ユネスコの世界遺産です。
ボートを予約・手配できるベースはこの3地方は勿論、フランス全土に27ヶ所にあります。

どんなボートを借りるの?

船会社の提供するボートには2種類あります。
①ペニシェットと呼ばれる平底の運河航行用の船
②日本でもよく見られるクルーザータイプ
   ペニシェット    クルーザー

ペニシェットEauClaire 930 Fly

それぞれにいろいろな大きさがあり、乗船人数やグレイドで船を選びます。
大きさでは夫婦2人用、子供もいる家族用、2~3組のカップルが一緒に借りるグループ用など。大きいものでは定員12~14名くらいのものも有ります。
グレイドについては経済的なものから内装が木目仕様の豪華なボートもあります。
どちらかと言うと、昔からのペニシェット型は運河の景色によりマッチしますが操縦性ではクルーザータイプのほうが優れているようです。
どの船でも人数に応じた寝室、ベッドがあり、ミニキッチン(オーブンと冷蔵庫、食器つき)とラウンジ、トイレ、シャワー、そして屋根部分と船室の前後にオープンデッキが設けられています。まさに動くコンドミニアムです。

船酔いは大丈夫?

運河クルーズの夜

大丈夫です。運河は流れがなく波もなく、したがって揺れることもありません。船の航行は時速6~8キロ程度です。これ以上の速度は出ません。自転車と競っても負けてしまうほどののんびり運転で船酔いとは無縁です。

日没後の航行はできませんので、夜港に停泊して船の中で眠れば、他船の波に邪魔されることもなく地上のホテルと同じ、いえ、それ以上の心地よい眠りが約束されています。

ボートの運転は難しいの?

運河の旅には船舶免許は要りません。船を借りるとき、簡単な船の動かし方やロックの通り抜け方など小1時間ほどの講習を受けます。実はこれが資格審査をかねており、クルージング期間中だけ通用する暫定許可証が船会社から発給されます。自動車の運転より簡単がうたい文句ですので18歳以上の成人であれば問題ないでしょう。ただしロック作業を考慮してボートを借りるには最低でも2名以上の乗員(18歳以上の成人と16歳以上の子供)が必要です。

フェンダーが守ります

船はエンジンを調整してあり、ゆっくりとしか走れないのです。制限速度は運河で時速8キロ、ロックや港内では3キロです。
10m前後の船を操縦するのですから最初から完璧を期すのは無理でしょう。橋げたやロックの壁に船体を擦ったり、土手に舳先をぶつけたりはするでしょう。でも船体横にはフェンダーなる緩衝具がいくつもついていますし、舳先も強化ゴム製の防御帯で守られており心配は要りません。何回か擦ったりぶつけたりして上達してください。
料金には船舶保険も含まれていますし、船会社はオフシーズン(11月~3月)を船の修理に当てるのです。
日本では決してできない25~50フィート(7.5~15M)のクルーザーを免許なしで運転できるのですからちょっとワクワクしませんか?
免許無しでボートを借りられるのはなぜですか?FAQ

ロックでは協力が必要です

ただロックを通り抜ける際にはクルー(乗員)全員の協力が必要となります。これについては後で詳しく述べますが、クルーは船から降りて、船が揺れて岸壁や他船にぶつかったりしないようにロープを保持しなくてはなりません。
慣れるまではちょっと大変ですが、ロックの少ないコースをただ走るだけより、時々適当な数のロックを通るほうが楽しいと、思うようになります。

どうして皆、ボートに自転車を載せてるの?

ソーヌ川の水辺・青の道、歩行者・自転車専用、マコンまで30Km続きます

フランスはサイクリング大国です。フランス国内には安心して自転車で走行できるように設けられた自転車専用道路(緑の道)が2,600㎞にわたって整備されています。その多くは川や運河に沿った曳舟道を転用しています。クルーズ中に船から自転車を降ろし、次々と移ろいゆく美しい自然の中をすがすがしい気分でペダルを踏めば、船からとはまたちょっと違った景色が見られ、クルーズの楽しみが倍増すること請け合いです。

何とも気持ちいいニヴェルネ運河の曳舟道

ロックで自転車を降ろし、次のロックへは船で行く人と自転車で行く人に分かれて、陸と船とで手を振りあいながら並走する、などという楽しみ方も運河の旅ではよくみられる光景です。

ミディ運河の曳舟道

もちろん港からちょっと離れた場所のシャトーや遺跡を訪れるとき、町に買い物やレストランに食事に行くときにも自転車があると便利ですよね。
でも盗難にはご注意を!ロックチェーンを忘れず持参しましょう。
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