ロット川クルーズ (2016年5月 1週間)

クルーズコース

2016年5月14日(土)~21日(土)、ロット川を1週間クルーズしました。
ロット川クルーズは、フランス南西部の町カオール(Cahors)をベースにして、下流側リュゼック(Luzech)まで29Km、4ロックを往復し、次に上流側ラルナゴル(Larnagol)までの45Km、13ロックを往復するコースです。
距離的には短いので結構余裕があるように感じられますが、ロックにロックキーパーが居ないので、すべてのロック操作を自分たちでやらなければならないため(4名のクルーでやっと出来ました)、航行中は重労働と緊張の連続で優雅にワインを傾けることなど出来ませんでした。ただ、係留後のひと時は緑薫る大自然と鏡面のように穏やかな流れの中、至福の時を過ごしました。
我々の船は、TARPON42(12.9m長×4.2m幅。10名)で乗員4名にしては大きめで操船は大変でしたが、ゆったりとして極上の時を過ごせました。トイレ、シャワーが2つあったことも幸いしました(後述)。

世界遺産のヴァラントレ橋

後で、ベースの責任者に聞いたところ、ロット川クルーズはフランスで最も難しく上級コースだそうで、今まで日本人(東洋人)は来たことがなかったそうです。我々が、日本人で初めて、東洋人で初めてのロット川クルーズの経験者になりました。
それを聞いた時はびっくり、無事に帰れた事を祝って皆で乾杯しました。
(万歳!万歳!万歳!)

我らがスコーピオン号

【14日 土】金曜日午後、カオールに着き、町の下見、及びベース(Babou Marine)のチェックを行い、土曜に数日分の食料・飲み物の買い出しをしてベースに向かう。ワインは普通のスーパーマーケットでも日本の1/3~1/2の価格で良質のものが買えるので、つい1ダースも買ってしまった。しかし、地下駐車場がスーパーの傍にあったので、4人がかりで何とか荷物を車に運び込む。3時頃、事務所で手続きが出来、車を駐車場に入れた後、クルーザーに荷物を積み込み出航の準備。3時半頃、教習員が乗船し20~30分、コース情報や船の備品の取り扱い、操船の説明をした後、いよいよ出航。下流に向かい、初めのロックに入り、ロックの操作方法やもやいロープの結び方を一通り習う。すると教習員は、もう大丈夫、Good Luck!と言い残し、待たせた船でベースに帰ってしまった。当初の計画ではロックを一つ越えたドゥエル(Douelle)の町に停泊しようと考えていたが、教習員は安全を見てロック前に停泊しろと言うので、その言に従い早めに停泊し、船内で酒盛り。緊張と疲れで飲みながらこっくりする姿も・・・。

ハードなロック作業

【15日 日】快調に航行と行きたかったが、早くもトラブル発生。朝、トイレの1つが使用不能となった(後で使い方のノウハウが分かり解決)。(良かったです。マリントイレです。【船上生活の手引き】トイレ参照ください。)ロックに入ったもののロックの扉が開かない(冷や汗)。いろいろ試行錯誤しやっと開く(インターロックがかかるので、操作手順が大事と分かる)。そのうち、冷蔵庫が使えなくなった(これは、給電用コンセントアダプターを係留桟橋に忘れてきたため、冷蔵庫用のバッテリーがあがった)。
この付近はカオールワイン(赤黒色のワインで有名。メルベック種)の産地なのでドゥエル(Douelle)で停泊し、船に積んだ自転車を下ろし早速シャトー巡りに出発。日曜なのかそれとも時期が悪いのか、どこのシャトーを訪れても皆閉まっている。もうだめかと思ったところ、Lagrezetteというシャトーで、偶然シャトーの人に会い試飲させてもらい、そのうえ日本から来たというとワインセラー(ワインカーヴ)まで見せてもらった。
ケクス(Caix)に停泊し、リューゼックまで歩いて行きレストランかスーパーを探したが、開いているところは無し。(水辺ガイドをご覧ください。リューゼックには何もありませんよ。)結局、停泊地にあるカフェ?(海の家風)で夕食を取ったが、意外に旨い。やはりフランスの実力か?
【16日 月】ケクスあたりもワインの産地なので、今度は歩いてシャトー巡り。しかし、どのシャトーも休みばかりで、地元の人に開いているワイナリーはないか、身振り手まねで聞き出す悪戦苦闘をしたが、結局空振り。昔のワイン樽輸送舟の前でキャンパーと雑談し帰舟、一路カオールに向け出港した。カオールのベースに一旦停船し、停めてあった車で食材の買い出しをする。本日の宿泊地のラロック・デ・ザルク(Laroque-des-Arcs)に向け、夕刻出航。ラロック・デ・ザルクの桟橋にはすでに2隻が停泊し、2隻の間にボートの長さ程度の空きしかない。ダメな時は、桟橋に垂直に舫うかと考えながら、バックで入っていくと、隣の舟の家族が接岸を手伝おうと桟橋で待ち構えてくれた。ロープを投げると12歳の男の子(後で分かった)が必死に引っ張って船の接岸を助ける。何とか接岸しドイツ人の家族に礼を言う。今夜はバーベキュー、しかしなかなか火が付かない。すると隣のドイツ人が着火指導をしてくれた。そればかりか、バーベキューの焼き方指導まで、なんと優しいお節介なドイツ人だ!炭が熾るまで、両隣のドイツ人と交流。食べる頃には日が沈み周りは静粛な雰囲気に。

昔のワイン輸送船

【17日 火】朝、ワイナリーを求めて、ラロック・デ・ザルクの村を散策。シャトーの道しるべあるものの見つけ出せない。ロット川の船の運航を監視していた中世の塔、山の上の礼拝堂等を見学。ロット川に流れ込む小川の水が透明で、小魚の群れが良く見える。
ラロック・デ・ザルクを後にし、サン・シル・ラポピー(St-Cirq-Lapopie。フランスで一番美しい村の一つ)目指して遡上する。今日は、7つのロックを越えるが、ブジーの先のガニルロックが難所。少し行った処で、小型船が我々の後に着いてきた。ロックに入る時は、後続の舟を待たなければいけないので、この小型船とはブジーまで6つのロックを共にした。小型船はフランス人夫婦(30年以上各地の運河や川をクルージングしているベテラン)が乗っており、このような手動式ロックは2人操作が難しく、協力者が現れるのを待っていたとの事。ガニルロックのバイパス運河内では観光船とすれ違えないため、ブジー(Bouzies)に停船し、観光船の帰りを待つ。ガニルロックのバイパス運河は幅が狭く、片側は切り立った崖で恐る恐る運転。こんな時、対向船に会わなきゃいいがとビクビク運転。幸運にも対向船は居なかったが、6時を過ぎていたので係留地は船で満杯。空いているのは、接岸が難しい仮係留地。この時も、他の舟の人たちが飛んできて係留を手伝ってくれた。夕食を食べにサンシルラポピーへ歩いて向かう。夕暮れが迫り、山肌に張り付いた家々が素朴で美しい。夕飯は村のレストランで、地元料理の盛り合わせとカオールワイン。夜遅く帰船。

ガニルロックバイパス

【18日 水】上流の終点ラルナゴル(Larnagol)に向け出発。ラルナゴルまでは13Kmしかないが、その間4つのロックがある。ラルナゴルで昼食が出来るかと上陸したが、鄙びた街で1軒の食堂もない。(水辺ガイドをご覧ください。レストランはありませんよ。)船中でインスタントラーメンなどを食べ、再びサンシルラポピーを目指す。時間があったのでセネビエール(Cenevieres)の桟橋に停船し、自転車でセネビエール城を訪問した。砦は8世紀、建物は13世紀に建てられ、征服者の変遷を経て1793年に現持ち主の先祖が購入したとのこと。夕方、サンシルラポピーの停泊地に近づくがすでに満杯、仕方なく対岸の船着場に停泊する。この時も、隣にすでに停泊していた船の家族に助けられた。
【19日 木】午前中は、対岸からサンシルラポピーを望む。対岸にも村があり、そこで食材を調達した。昔は鉄道橋だった橋を渡り、再びサンシルラポピーの村に向かう。村の中は、多くの観光客で賑わっていた。教会の裏手に砦の廃墟のような展望台があり、そこからの眺めは、村やロット川が一望でき美しい。
また、ガニルロックを通り、ブジーに行かなければならないが、時間が早いため観光船との遭遇を懸念しつつ、川を下る。バイパス運河の寸前で観光船を見つけ危うく避ける。もう大丈夫と思いロックに近づいた時、もう一隻の観光船がロックから出てきた。慌ててロック横のパーク(待避桟橋)に接岸する。観光船のスタッフの若い女性が飛んできて、接岸を助けてくれて何とかすれ違う。危機一髪を回避できたが冷や汗。
ブジー停泊後、自転車で支流沿いにカブレル(Cabrerets)へ向かう。ブジーから4Kmとガイドブックにはあったが、行けども行けどもたどり着かない(自転車で1時間弱かかった)。カブレルには洞窟が有り見学しようと思ったが、遅くなったため諦め岩の上の城塞跡を訪れた。船に戻り、久しぶりに日の高いうちデッキで夕食を食べる。水面は鏡のように緑をたたえ、日が沈むと月が川面に浮かび一時感慨に耽る。

川面の月

【20日 金】ブジーからカオールまで8ロック、29Km。昨日、ロックの操作を間違え慌てたので、今日は慎重に手順通りに操作。自動ロック(全行程中1か所だけある)の操作が分からず少し慌てたが、無事通過し余裕をもってベースに帰還した。途中、巡礼者4名(ドイツ人、ヒッチハイカー)を乗船させた。
(この行為は規則違反です。:賃貸条件 ボートの使用について 【船長は乗船時に名簿に記載されていない者を乗船させてはなりません。】ご注意ください)
ロック作業を手伝おうとしたので、危ないので断ったが、初日の自分達を見ているようで、恥ずかしくもあり、自慢したいようでもあり複雑な気分になった。特に最後のヴァラントレ橋のロックでは、見物人が橋の上から見ていて、うまくロックに入ると拍手してくれ、少しいい気分になった。
明朝早く出るため、翌朝9時のチェック(船の点検)を夕方にやってもらった。結構船体をぶつけたが、無事パスし追加料金は取られなかった。
この日の夜は、ヴァラントレ橋の傍のレストランで、夜の帳が下りるまで祝賀会を行った。
21日は、8時過ぎにベースを出て、残り1週間のドライブの旅に出発した。(お疲れ様でした。日本人いや東洋人初の最上級クルーズコースを完遂されおめでとうございます。次はどこでも大丈夫ですね。)
旅のヒント:フランスでは3つの河川がロックキーパーのいない完全手動式ロックとなっています。まずブルゴーニュ地方のセイユ川(La Seille)、今回のロット川(Le Lot)、そしてコニャックで有名なシャラント川です。これらの河川をクルーズするには乗員は4名以上がいいかと思います。一方ロックキーパーがいないことで天候が許せば早朝9時前から、夏場の日没前であれば夕方7時過ぎでも航行可能です。
クルーズの途中では港に停泊し水の補給や陸電を取ったりしますが、陸電のコンセントが船尾に設置されており、操舵席から見えないことが多く電源ケーブルを回収せずに出港する恐れがあります。早めに収納しておきましょう。
また土手などに舫い係留した場合、案外忘れそうになるのがロープを舫っていた鉄杭です。草むらに鉄杭を打つことも多く、ロープワークに気を取られていると土手に置き忘れとなります。ご注意を。

では纏めのビデオを御覧ください。

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