ロック作業

運河の旅にロックはつき物です。フランス語ではecluse(エクルーズ)と言います。自動式と手動式があります。多くの場合、ロックキーパーが作業し、指示をします。ただし、トラフィックのほとんど無い運河では自動式でも、手動式でもロックキーパーがいない時があります。操船講習時に教わる通過手順に沿って作業してください。人数に余裕がある時はロックキーパーの作業を手伝いましょう。ロック通過も迅速になりますし良い思い出にもなります。
ではロックキーパーのいる手動式ロックでの通過作業を説明しましょう。
ヒント:水辺ガイドではロックは下図のように表示されています。この図から運河・河川の上流、下流がわかります。扉(?)のとがっている方が上流です。ロック作業は上流から下流に下るほうが断然楽です。上流からですとロック内ではボートと同じ高さに岸がありますので降りるのが楽になります。

ヒント:ロックキーパーはVNF(フランス水路管理局)に属する国家公務員です。給与を得ており原則、ロック作業に対するチップは不要です。ロック近辺の諸情報を持っていますのでロック作業を手伝いながら村や町のレストラン情報やお店情報を尋ねると親切に教えてくれます。お煎餅などの小袋を用意しておき、ロックを出る際に手渡すのも良いと思います。
赤信号のロック進入禁止 手動式ロックは手伝いましょう かなり深いロックもあります。下流から入ったわけです。ロックマークと上流・下流の関係

ロック(手動式)の通り方

進行方向の先にロックが見えてきました。150~200m手前で減速し、ロックの扉が開いているか閉じているか、信号はグリーン(進入可)か?レッド(進入不可)か?を確認します(双眼鏡が有効です)。進入可であるとき、ロックの通り方は運河を遡っているのか、下っていいるのかで少々異なります。進入不可の場合はロック手前の停船場または土手に舫い待ちましょう。
なお、ロック内ではエンジンは切らずに中立にします。

ロックワーク(上り)

ロックワーク 上り
あなたの船は運河を遡っており、下流(水位の低い側)から水位の高い側に上るために下流扉に近づきます。

①.ロックにユックリと入ります。必要なら1~2人の乗員が上陸します。
(この際ロックキーパーのいない側に上陸する)
②.ロックに完全に入ったならば、舫い綱を陸上の乗員に投げ、まず船首、ついで船尾の順番で舫います。
③.この際、陸上の乗員は舫い綱を繋留柱(ビット(英),ボラール(仏))に結ばずに単に回すだけで船上の乗員に返します。
④.ロックキーパーが下流扉を閉めます。
(この際陸上の乗員はロックキーパーとは反対側の扉を閉める手伝いをましょう)
⑤.ロックキーパーが上流側の注水口の扉を開けます。船首及び船尾の舫い綱は船上の乗員が保持していますが、水流により船が前後左右に揺れない様、舫い綱を適度の強さで握り、船が上昇するのに合わせ、舫い綱を手繰っていきます。
⑥.上流側と同水位になったら上流扉を開けます。
(この際陸上の乗員はロックキーパーとは反対側の扉を開ける手伝いをましょう)
舫い綱と乗員を回収し、ユックリとロックを出ます。
下流からゆっくり入ります、後方には待機中の船も上流扉の注水口から水が入ります時間短縮のため結構激しいロープで保持しますロック内の壁にはこんなロープ掛けもあります上流へゆっくり出て行きます

ロックワーク(下り)

ロックワーク 下り

あなたの船は上流から水位の低い側に下るため上流扉に近づいて行きます。
①.ロックにユックリと入ります。
乗員が地上に降り(この際ロックキーパーのいない側に降りる)、船首及び船尾の舫い綱を繋留柱(ビット)に結ぶことなく、単に回すだけで船上の乗員に返します。船上の乗員は3m~4mほど下降ができるほどに舫い綱に余裕があることを確認します。後進で上流扉に船を近づけ過ぎないよう注意しましょう(スクリューを傷つける危険があります)。
②.ロックキーパーが上流扉を閉めます(この際陸上の乗員はロックキーパーとは反対側の扉を閉める手伝いをしましょう)。
③.下流側の排水口を開けます。舫い綱を少したるみができる程度に調整しながら下降します。
④.下流側と同水位になったらロックキーパーが下流扉を開けます(この際陸上の乗員はロックキーパーとは反対側の扉を開ける手伝いをましょう)。
舫い綱と乗員を回収し、ユックリとロックを出ます。(ロックが深く、乗員を回収できない時は乗員はロックの先の岸辺で待ちましょう。)

運河の旅の間にはロックキーパー不在の自動式のロックにも行き会うこともあるでしょう。ロック開閉用カードを差し込んだり、ボタンを押したりと若干異なる作業もありますが、ロック内での作業手順は手動式ロックと全く同じです。
ロックでの作業は、最初は複雑に見えるかもしれませんが、やがて面白くなり、ロックが見えてくるたびに気持ちが奮い立つことでしょう。

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